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「殿。中広間へ参られましたら、どうぞ私の分も合わせて、よう信光様の労をねぎろうて差し上げて下さいませ」
姫が笑んで告げると
「何を言う。そなたも共に参り、直々に叔父上に言葉をかければ良いではないか」
「されど此度は、以前と違ごうてご重臣の方々も皆揃うておられましょうし…」
「遠慮致すな。この度の勝利はそなたの助言のおかげでもある。正室として、堂々と儂の傍らに座しておれば良い。──のう内藤?」
「はい。何せ本日はめでたき日、お方様が殿の側におわせば、座が更にも増して華ぐ事にございましょう」
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濃姫は信長と勝介の晴れやかな顔を一度ずつ見やると、腹の底からわき上がってくる至福の感情を、そのまま破顔という形で表した。
「お二方から左様に言われては、私も奥へ引き返す訳には参りませぬな」
そう言って柔らかな吐息を漏らすと、濃姫は信長の横に付き、中広間まで続く廊下を共にしずしずと歩き始めた。
その後ろに続く勝介は、顔を見合わせて微笑む信長と濃姫の姿を見て
『 何と睦まじきご様子…。一幅の絵を見ているようじゃ 』
まるで親のような気持ちになって、目の前の若き夫婦を暖かく見守っていた。
いつしか雨の勢いは弱まり、灰色の雲の隙間から淡い陽光が漏れ始めていた。
信光の助けもあり、見事 清洲・尾張下四郡を手中に治めた信長は、まず本拠を清洲城に移すべく城の大改修を執り行った。
大手、搦手の御門、御本丸、南北の櫓、掘に至るまで細かく手を加え、前城主時代のなごりを消し去ろうとする勢いで、城を新築同様に、更に格式高く造り変えたのである。
これに三、四ヶ月の日を要した為、那古屋城へ移り住む算段となっていた信光と完全に居を入れ替えた頃には、またしてもひと夏が通り過ぎてしまっていた。
信長、濃姫一行が清洲城に住まいを移した後も細かな改修は続けられ、暫くは落ち着かぬ日々が続いたが…
その年の十一月二十六日。
「──那古屋の織田信光様!御横死!」
突として舞い込んで来た悲報に、清洲城内は一瞬静まり返った。
濃姫もここ最近にはなかった落ち着きぶりで、使者がもたらした報に耳を傾けていた。
何でも信光は“不慮の事故”により、那古屋城で突如その生涯を終えたと言うのである。
信光にとっては絶頂期とも言える今の時分での急死──
濃姫は怪訝の色を隠せなかった。
これは後に三保野がどこからか仕入れて来た話だが、実は、信光の正室・松平氏と密かに情を通じていた重臣・坂井孫八郎が、
奥方との不義が信光に知られるのを恐れて、信光を斬り殺してしまったというのである。
なるほど、それなら不義密通の露見を恐れた故の謀反による死という事になるが、何せ時期が時期である。
口さのない者たちの中には
「これはきっと、織田家を早々と統一なされたい信長様による暗殺であろう。信光様の力がこれ以上強大になれば、信長様もいつお命を狙われるか分からぬからのう」