[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
いったいこの少年の澄んだ瞳には、この世界はどのように映っているのだろう。
その刀には、どのような想いが込められているのだろう。
私は鉄くんじゃないからわからないし、こんな一言でまとめられちゃ尺に合わないと思うけど、きっと、辛いはずだ。
相変わらず空を見続けている市村。やっぱりどこか沖田の面影を感じる。
まさか実は病に侵されてたりしないよね?
なんだか心配になってしまった。
真冬は太陽が沈むのが早くて、もう沈んで消えてしまった。
部屋は真っ暗になり、シンとしている。市村は格子から動かない。
「……鉄くん?」
「…………」
返事はない。【生髮療程】激光生髮、生髮帽、生髮針有效治療脫髮? -
美海は何かに焦って起き上がった。
顔を覗き込む。
目は閉じている。
だが息もある。
美海は息を漏らした。
市村も座ったまま寝てしまったらしい。
子供の市村はもっと疲れていただろう。
「仕方ないな」
美海は市村を抱えて布団に移動させようとした。
「ふんっ」
グッ
「んんん?」
重たい。思っていたより重たい。
よく考えれば少し背も伸びた。
僅かだが美海の身長を越えていた。さっき自分は見上げていた気がする。
市村は全く持ち上げられなかった。
「………はぁ…」
美海は諦めて立ち上がるとズルズルと布団を引きずり、市村に掛けた。
スパンッ
「総っちゃーっん!」
いきなり襖が開き、光が入ってきた。
綺麗な女の人が驚いたように中を見ている。
誰?
美海はそれをポカンと見ていた。
グゴー
ズゴッ
沈黙の中でも男達のいびきは容赦なく響き渡る。
「…………」
女の人は美海に気づいていないようで考えたように仁王立ちしている。
誰かに似ている。
今度は何か思いついたのか急いで部屋を出て行った。
階段を駆け下りる音がしたと思えばすぐに駆け上る音が聞こえだした。
あの人なんなんだろ。
その様子を美海は黙って見ていた。
再びこの部屋に女の人が現れた。暗闇にも目が慣れてきたころ、その人が何を持ってきているか見えた。
暗闇にキラリと光っている。
…筆?
全くわけがわからない。
相変わらず誰も気づかないまま。
中に入ってくる。
一つの布団の前でしゃがみ込んだ。
何?あの布団は…原田さん?
女の人は大きく布団を捲った。
しかし起きない。
ん?
ちょっと待ってよ。
女の人はとうとう原田の着物に手をかけた。
静かに開いていく。
いやいやいやいや!
ちょっと待って!
いくらみんな寝てるからってそれは駄目でしょ!
女の人はそのままゴソゴソとなにやらしていたが、そのまま動かない。
原田も動かない。
女の人は立ち上がった。
そして何が不満だったのか原田を小さく蹴る。
えぇ!?
「うぅん…」
原田は整った顔を歪めて唸る。
「つまんない。みんな情けないわねー。起きろ原田!」
ゴスッ
女の人は思い切り原田を蹴った。
「だ!?」
原田はガバッと起き上がると寝ぼけた目で周囲を見回した。
いきなり起きたため周囲が見えないようだ。
そのまま灯籠に火を着けた。
「…………」
目の前にある女の人の顔を凝視して固まった。
「お……おみつさん!?」
女の人、みつは満足げに笑っている。
「今夜は宴会だから。そう簡単に寝かさないわよ!」
ガバッ
「姉さん!?」
その声を聞いた沖田が布団をはね除けて起き上がった。
「おかえり。総ちゃん」
みつはにっこり笑った。
沖田は目を擦りながら見ている。
「ね…姉さん…?」
なんでいるの?
「お鈴ちゃんが土方さんや総ちゃんが帰ってきたって言うもんだから。来ちゃった」
みつは舌を出しながら笑う。
そうか!この人は沖田さんの!
美海はいつか沖田が話していたことを思い出した。
そして先ほどの原田への強烈な蹴りを思い出した。
皆なんだなんだと起き上がり始めた。
斉藤なんかは寝ぼけながらも抜刀しようとしている。
「お光姐さんじゃねぇか!」
「久しぶり永倉さん」
そっか試衛館からの皆は知ってるのか。
「お光さん…」